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瞑想について

4年前にヴィパッサナー瞑想10日間コースを受けたとき、驚いたのは参加者の約半分がイスラエルの若者だったこと。インドや南米には兵役を終えたイスラエルの若者たちがグループで旅行している姿をよくみかける。でも、どこへ行っても「マナーが悪い」と評判の彼らが、10日間この厳しい修行コースにどっさりいたのだから、びっくりした。イスラエルは男子が3年、女子も1年9ヶ月の徴兵期間がある。ご存知のように、パレスチナとの混乱が長く続いており、決して良い環境とは言えないし、訓練だけというわけには行かない。インドで見かける彼らの言動は確かにストレスに満ち満ちている。

聞くところによると、イスラエルにはヴィパッサナー瞑想センターが複数あるという。へぇー、これも意外だった。日本にはつい最近までセンターはひとつしかなかったのに、中東のイスラエルにゴータマ・ブッダ直伝の瞑想法が行き渡っていたとは。

というわけで、「瞑想」と聞いたら即座に「イコール宗教」、「あぁ、とうとうコイツも宗教にすがったか」とお感じになった方も少なくないかもしれませんが、この瞑想センターには、この世の中ではなかなか見られない光景があります。

イスラエルということはユダヤ教が多いわけで、そのほかの参加者を見ても実に国際色、宗教色豊かな面々。私が確認しただけでも、スイス、スペイン、ブラジル、コスタリカ、オランダ、アメリカ、中国、香港、イギリス、オーストラリア、フランスに、インド、スリランカ、ブータン、チベット、ビルマの僧侶たちがいた。

興味深いのは、今回のコースを見ても外国人参加者で一番多いのは欧米人。4年前のコースで言えば、ほとんどが欧米人。宗教別で言うと、仏教徒と名乗る人が一番少ない。日本人を無理やり全員「仏教徒」にカテゴライズし、僧侶たちの数と合わせればなんとかマジョリティ確保、といった具合だ。ちなみに、今回は末期ガンの患者もいた。残念ながら、体調を崩してリタイアしてしまったと後で聞いた。

仏教が欧米社会で注目されるようになってだいぶ経つが、「禅」にしても「ヴィパッサナ」にしても彼らはそれらをあまり宗教的に見ていない。もちろん、「仏教」を宗教として知識から入る人もいるが、多くは座禅や瞑想で体験的に真理というものを垣間見たことをきっかけに、「仏教」という哲学に入っていくようだ。つまり、知識ではなく、真理を自分の身体で体験し、宇宙全体(自然)の法則を自分の身体で知るわけなので、外側のものは関係ないようだ。だから、「座禅を組んで○年です」とか「インドには瞑想を学びに来ました」という外国人はとっても多いが、「仏教徒になりました」という人はあまりいない。ヴィパッサナー瞑想を覚えたからと言って、それが彼らの宗教を脅かすものではないのだ。もちろん、ここインドでは青い目の僧侶がたくさんいるけれど。瞑想で得られるものはあくまでも哲学であり、自然科学であり、科学的に証明し得る普遍(不変)の事実(真実)であるために、すべての人に当てはまる。したがって、宗教を持つ人でも、あるいは宗教指導者であったとしても「改宗」するということはまずない。その必要性がない。だから、このセンターにはさまざまな人が集まる。

先日マザーハウスで一緒に働いたスペイン人の女性は熱心なカトリック教徒だったが、スペインでは毎週末、近くの寺で瞑想をしているのだと言っていた。もっとも、マザーテレサの修道会でも毎日黙想するし、シスターたちは全員が1年1回必ず8日間の完全リトリート(黙想)に入ることになっている。マザーテレサのプライベート書簡公開で話題の新刊『Come Be My Light』を読めば、マザーの生涯も瞑想が不可欠だったことがよくわかる。イスラム教だって、預言者ムハンマドは瞑想中に神の啓示を受けたわけだ。そう考えると、瞑想に終始するゴータマ・ブッダの教えから派生した「仏教」が生活に根ざした日本であまり瞑想が定着していないのは不思議なことのように思える。

世界中あちこちにヴィパッサナー瞑想センターはある。インドでは40箇所以上のセンターがあり、そのほかアジア17カ国。北米、中南米、オーストラリアとニュージーランド、ヨーロッパ、中東では、イスラエルのほか、バーレーン、レバノン、エジプト、イラン、UAE、オマーンにもすでにある。アフリカにもケニア始め7カ国。文字通り、世界中に広がっている。さらに、インドの刑務所では受刑者にこのヴィパサナー瞑想を伝授している。社会復帰する前に、「心の手術」を行うというわけだ。

最近、メディアや経済界を賑わせているインドだが、スピリチュアル大国の本領もいまだ発揮している。物質文化の濁流が都市に押し寄せる一方、数千年間変わらず数億の最貧困を抱える国インド。この地には生涯をかけて真理を探究し続ける人たちが大勢いる。人間に苦悩がまとわり続ける限り、インドは精神的先進国であり続けるだろう。ここに来ると、私たち”物質先進国”の人間こそ、1日1度でも1時間は座って目を瞑った方がいいのだとつくづく思う。

ゴータマ・ブッダ生誕から2500年以上。悟りの菩提樹の下で、その兆しが確実に広がっていることを実感する、私の「2007年、宇宙の旅」です。
by nao-takato | 2007-12-13 22:46 | 心/瞑想

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