緊急嘆願書への署名のご協力をお願いします
2006年 07月 04日
以前にもここでお知らせしましたとおり、先月12日にイラクの友人の兄が亡くなりました。交通事故で負傷した友人の兄は、病院に搬送される途中で、米軍に止められ、病院に行くことを許されずそのまま出血多量で亡くなったそうです。
彼らの町ラマディは、今年4月から大規模な米軍の攻撃を受けていました。先月のそれは、2004年のファルージャ大虐殺に匹敵すると言われました。
私はこの知らせを聞いて、自分がファルージャで拘束された時を思い出しました。私はあの時、ファルージャ住民の大きな怒りに押し潰されそうになりました。しかし、その怒り狂う彼らの後ろにさらに重くのしかかるものがあることを強く感じていました。それは、イラクの外に住む私たちの無知、無関心、無力感というものでした。この「無」は「負の感情」や「負の行動」を大きくしていきます。暴力や戦争はますます増え、怒りや憎しみが増大していきます。私はあの時、そんな「無」が生み出す「負」に絡めとられた、そう感じたのです。そして今、私は同じことをくり返してしまっていると激しく思っています。
今までに送られてきたイラク人からのメールをブログにまとめました。イラクメール日本語とイラクメール英語(原文)です。そこには「世界に理解してもらえない」という切実な思いがありました。「私にできることはなんだろう?」と考えても、ただただ無力感に襲われ、手をこまねいて見ているだけになってしまいました。イラクに行けない私が、今、イラク人に対しどんな言葉を述べ、どんな態度を示せばよいのか悩みました。
一つアクションを起こしてみようと思います。「イラクにおける暴力を止めることを求める」国際緊急嘆願書を作成することにしました。これはイラクホープネットワークが主体となってやっています。ブッシュ大統領に提出する予定ですが、この嘆願書(申入書)に賛同してくれる方々の署名を集めております。
詳細はイホネット
この署名がすぐさまイラクの安定につながることはないだろうことはよくわかっています。しかし、この中に述べたイラクの情勢を広く世界に知らせたいというのが第一の目的であります。そして、この嘆願書の内容に賛同してくれる方々の署名は、イラク人に対して私たちの誠意を示すことになるのではないかと考えました。「イラクを見捨ててはいない」というたくさんの人の意思表示が、少しでも多くのイラク人の励ましになればと考えています。
この嘆願書に賛同し、広く呼びかけていただける「呼びかけ人」を募集しております。呼びかけ人になってくださる方は下記メールアドレスまでお知らせください。
iraq_hope_net@yahoo.co.jp
以下は、嘆願書の日本語訳です。
====================================
ジョージ・ブッシュ米国大統領へ
「これ以上の殺戮をどうかやめてください」
私たちは、米国政府に対し、イラク西部の町ラマディから兵を退き、これ以上の殺戮をただちにやめるよう要求します。ラマディはバグダッド西方に位置する人口40万人のアンバール州の州都です。
米国が批准しているジュネーブ条約では、民間人に対する攻撃、殺人、傷害、虐待はジュネーブ条約の共通3条により禁止されています。この共通第3条は国際慣習法化されています。また、ジュネーブ条約第4条約では、以下のことを規定しています。
16条 病人の保護
18条 文民病院の攻撃禁止
32条 民間人に肉体的苦痛を与える行為や虐殺を禁止
ラマディの住民は以下のような状況に置かれています。また、ジュネーブ条約追加第一議定書に米国は締約国になってはいませんが、以下に指摘した規定は国際慣習法としての性格を認められており、仮に締約国になっていなくとも、国際法上許されません(以下、太字は「ジュネーブ条約追加第一議定書」からの引用)。
● ラマディでは、ここ数ヶ月にわたり電気・水・食料・ガソリンスタンドなどのライフラインを断ち、人々の生活を困窮に落としいれています。これはジュネーブ条約追加第1議定書54条に違反しています。
(1) 戦闘の方法として文民を飢餓状態に置くことを禁止する
すなわち、住民の生活に必要不可欠なものを利用させないようにして、住民を飢餓に陥れることは、いかなる理由をもってしても禁止されています。
● 家々を襲撃し、屋上を占拠し、道行く人を狙撃し、米軍はラマディの街を恐怖と暴力で支配し続けています。これは、ジュネーブ条約追加第1議定書第51条に違反しています。
(2) 文民たる住民それ自体および個々の文民は、攻撃の対象としてはならない。
文民たる住民の間に恐怖を広めることを主たる目的とする暴力行為または暴力による威嚇は、禁止する。
(4) 無差別な攻撃は、禁止する。
すなわち、無差別な攻撃とは、軍事目標と文民または民用物とを区別しないでこれらに打撃を与える性質を有するものをいいます。過去、米軍は民家をミサイルで攻撃し、あるいは民家に押し入り住民を銃殺し、多数の民間人を殺傷しています。
● 米軍は検問と称して、病人さえも通ることを禁じています。このため、治療が間にあわず亡くなる住民が多数います。これは同条約追加第1議定書第10条に違反します。
(2) 傷者、病者および難船者は、すべての場合において、人道的に取り扱われるものとし、また、実行可能な限り速やかに、これらの者が必要とする医療上の看護および手当を受ける。
すなわち、いかなる場合も、住民の生命をおびやかす行為は禁止されています。
● 米軍は市内にある病院を攻撃の対象として住民が治療を出来ないようにしています。
これは同条約追加第1議定書第12条に違反しています。
(1) 医療組織は常に尊重され、かつ、保護されるものとし、また、これを攻撃の対象としてはならない。
● 米軍はイラクでの占領を取材しているロイター通信社のイラク人記者を含む、イラク人ジャーナリスト7人を、確たる理由もなく逮捕・拘束しています。 これは同条約第1追加議定書第79条に違反します。
(1) 武力紛争の行なわれている地域において職業上の危険な任務に従事する報道関係者は、第50条1に規定する文民と認められる。
ジャーナリストも文民としての権利を有し、保護され、暴力行為または暴力による威嚇は禁止されています。
かようにイラクにおける米軍の占領は国際条約上からみても、あらゆる面から許されるものではありません。
今、ラマディの街には、貧しくて街を出ることが出来なかった人、交通手段を持たず出ることが出来なかった人、家を守るため、あるいは家族を守るために出ることが出来なかった人々が閉じ込められています。即刻米軍はラマディの街から占領軍を退き、ジュネーブ条約にのっとり適切な方法で住民と接することを要求します。
米国政府およびイラク政府は2004年にも二度にわたりファルージャを攻撃し、多くの人々を殺しました。ファルージャだけではありません。過去3年間にアルカイム、ハディーサ、タルアファル、サマッラ、ナジャフ、バグダッドで、繰り返し繰り返し行なっています。私たちは何度このような殺戮を見なければならないのでしょうか。この間、亡くなったイラク人の数は10万人を越え、米兵は2500人を越えました。
米兵がイラク人を殺せば殺すほど、彼らは、米国政府とイラク政府を敵とみなし、レジスタンスが増えていきます。
米軍が敵とみなしているのはイラクの民衆そのものです。
人々を殺すことをやめ、平和的創造に向けて、その力を発揮してください。
2006年6月25日
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彼らの町ラマディは、今年4月から大規模な米軍の攻撃を受けていました。先月のそれは、2004年のファルージャ大虐殺に匹敵すると言われました。
私はこの知らせを聞いて、自分がファルージャで拘束された時を思い出しました。私はあの時、ファルージャ住民の大きな怒りに押し潰されそうになりました。しかし、その怒り狂う彼らの後ろにさらに重くのしかかるものがあることを強く感じていました。それは、イラクの外に住む私たちの無知、無関心、無力感というものでした。この「無」は「負の感情」や「負の行動」を大きくしていきます。暴力や戦争はますます増え、怒りや憎しみが増大していきます。私はあの時、そんな「無」が生み出す「負」に絡めとられた、そう感じたのです。そして今、私は同じことをくり返してしまっていると激しく思っています。
今までに送られてきたイラク人からのメールをブログにまとめました。イラクメール日本語とイラクメール英語(原文)です。そこには「世界に理解してもらえない」という切実な思いがありました。「私にできることはなんだろう?」と考えても、ただただ無力感に襲われ、手をこまねいて見ているだけになってしまいました。イラクに行けない私が、今、イラク人に対しどんな言葉を述べ、どんな態度を示せばよいのか悩みました。
一つアクションを起こしてみようと思います。「イラクにおける暴力を止めることを求める」国際緊急嘆願書を作成することにしました。これはイラクホープネットワークが主体となってやっています。ブッシュ大統領に提出する予定ですが、この嘆願書(申入書)に賛同してくれる方々の署名を集めております。
詳細はイホネット
この署名がすぐさまイラクの安定につながることはないだろうことはよくわかっています。しかし、この中に述べたイラクの情勢を広く世界に知らせたいというのが第一の目的であります。そして、この嘆願書の内容に賛同してくれる方々の署名は、イラク人に対して私たちの誠意を示すことになるのではないかと考えました。「イラクを見捨ててはいない」というたくさんの人の意思表示が、少しでも多くのイラク人の励ましになればと考えています。
この嘆願書に賛同し、広く呼びかけていただける「呼びかけ人」を募集しております。呼びかけ人になってくださる方は下記メールアドレスまでお知らせください。
iraq_hope_net@yahoo.co.jp
以下は、嘆願書の日本語訳です。
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ジョージ・ブッシュ米国大統領へ
「これ以上の殺戮をどうかやめてください」
私たちは、米国政府に対し、イラク西部の町ラマディから兵を退き、これ以上の殺戮をただちにやめるよう要求します。ラマディはバグダッド西方に位置する人口40万人のアンバール州の州都です。
米国が批准しているジュネーブ条約では、民間人に対する攻撃、殺人、傷害、虐待はジュネーブ条約の共通3条により禁止されています。この共通第3条は国際慣習法化されています。また、ジュネーブ条約第4条約では、以下のことを規定しています。
16条 病人の保護
18条 文民病院の攻撃禁止
32条 民間人に肉体的苦痛を与える行為や虐殺を禁止
ラマディの住民は以下のような状況に置かれています。また、ジュネーブ条約追加第一議定書に米国は締約国になってはいませんが、以下に指摘した規定は国際慣習法としての性格を認められており、仮に締約国になっていなくとも、国際法上許されません(以下、太字は「ジュネーブ条約追加第一議定書」からの引用)。
● ラマディでは、ここ数ヶ月にわたり電気・水・食料・ガソリンスタンドなどのライフラインを断ち、人々の生活を困窮に落としいれています。これはジュネーブ条約追加第1議定書54条に違反しています。
(1) 戦闘の方法として文民を飢餓状態に置くことを禁止する
すなわち、住民の生活に必要不可欠なものを利用させないようにして、住民を飢餓に陥れることは、いかなる理由をもってしても禁止されています。
● 家々を襲撃し、屋上を占拠し、道行く人を狙撃し、米軍はラマディの街を恐怖と暴力で支配し続けています。これは、ジュネーブ条約追加第1議定書第51条に違反しています。
(2) 文民たる住民それ自体および個々の文民は、攻撃の対象としてはならない。
文民たる住民の間に恐怖を広めることを主たる目的とする暴力行為または暴力による威嚇は、禁止する。
(4) 無差別な攻撃は、禁止する。
すなわち、無差別な攻撃とは、軍事目標と文民または民用物とを区別しないでこれらに打撃を与える性質を有するものをいいます。過去、米軍は民家をミサイルで攻撃し、あるいは民家に押し入り住民を銃殺し、多数の民間人を殺傷しています。
● 米軍は検問と称して、病人さえも通ることを禁じています。このため、治療が間にあわず亡くなる住民が多数います。これは同条約追加第1議定書第10条に違反します。
(2) 傷者、病者および難船者は、すべての場合において、人道的に取り扱われるものとし、また、実行可能な限り速やかに、これらの者が必要とする医療上の看護および手当を受ける。
すなわち、いかなる場合も、住民の生命をおびやかす行為は禁止されています。
● 米軍は市内にある病院を攻撃の対象として住民が治療を出来ないようにしています。
これは同条約追加第1議定書第12条に違反しています。
(1) 医療組織は常に尊重され、かつ、保護されるものとし、また、これを攻撃の対象としてはならない。
● 米軍はイラクでの占領を取材しているロイター通信社のイラク人記者を含む、イラク人ジャーナリスト7人を、確たる理由もなく逮捕・拘束しています。 これは同条約第1追加議定書第79条に違反します。
(1) 武力紛争の行なわれている地域において職業上の危険な任務に従事する報道関係者は、第50条1に規定する文民と認められる。
ジャーナリストも文民としての権利を有し、保護され、暴力行為または暴力による威嚇は禁止されています。
かようにイラクにおける米軍の占領は国際条約上からみても、あらゆる面から許されるものではありません。
今、ラマディの街には、貧しくて街を出ることが出来なかった人、交通手段を持たず出ることが出来なかった人、家を守るため、あるいは家族を守るために出ることが出来なかった人々が閉じ込められています。即刻米軍はラマディの街から占領軍を退き、ジュネーブ条約にのっとり適切な方法で住民と接することを要求します。
米国政府およびイラク政府は2004年にも二度にわたりファルージャを攻撃し、多くの人々を殺しました。ファルージャだけではありません。過去3年間にアルカイム、ハディーサ、タルアファル、サマッラ、ナジャフ、バグダッドで、繰り返し繰り返し行なっています。私たちは何度このような殺戮を見なければならないのでしょうか。この間、亡くなったイラク人の数は10万人を越え、米兵は2500人を越えました。
米兵がイラク人を殺せば殺すほど、彼らは、米国政府とイラク政府を敵とみなし、レジスタンスが増えていきます。
米軍が敵とみなしているのはイラクの民衆そのものです。
人々を殺すことをやめ、平和的創造に向けて、その力を発揮してください。
2006年6月25日
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by nao-takato
| 2006-07-04 01:43
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