9.11の遺族の中に、
少数ではあったがアフガニスタン攻撃への反対を表明していた人たちがいた。
ピースフルトゥモローズ。
「もうどこにも犠牲者を出さないで」という願いを共有した遺族の会だ。
だけど、当時のアメリカ世論は報復感情が昂っていて、
彼女たちは反愛国者とレッテルを貼られ、
報復しないのは9.11犠牲者への侮辱だとまで言われ、
方々から嫌がらせを受ける。
火炎瓶を庭に投げ込まれたという話もあった。
当時のアメリカは普通じゃなかった。
私のアメリカの友人も、
戦争に反対するだけで白い目で見られるような空気だと
声をひそめて言っていたのを覚えている。
世界は対テロ戦争に向かってどんどん動き出してしまった。
でも、20年経ってどうだろう?
世界は安全になってないし、
テロは逆に拡散しているし、
犠牲は甚大すぎる。
それに、どんなに大量に戦闘員を殺害しても、
どんなに名の知れたリーダーを殺害しても、
過激思想は死なない。
それはつまり、「対テロ戦争」は終わらないってこと。
終わらないどころか、さらに過激な集団を生み出してしまった。
もう、武力の限界を受け入れるしかない。
まず、なぜテロが起きるのか、その背景を知るしかない。
そして、対話するしかない。
対話できる人を増やすしかない。
そういう外交ができる政治家を増やすしかない。
20年前、そんな平和主義者は頭の中がお花畑だと笑われた。
だけど、そうじゃない。