イラクでの17年でわかった「ほぼ無理」なこと。
2020年 12月 12日
イラクでの17年で
「武力はいかん、対話で解決を」というのが
いかに「ほぼ無理」であるかがわかり、
私たち人類は対話をする準備さえ整っていないことを痛感しました。
進行中の紛争はいったいいくつあるのでしょう。
ここは、見た目には様々な民族や宗教が混じり合う
「多様性のあるところ」ですが、
暮らしてみると長過ぎる紛争でできた分断が痛いくらい見えてきます。
難民、避難民、ホストコミュニティ。
平和のためのワークショップやプログラムはいろいろあって、
参加者もたくさんいるのに、
写真を撮った後は、
いつまでたっても交わらなさそうな
いくつもの平行線が見えます。
戦争の傷は生々しく、
お互いを受け入れることは難しい。
子どもたちは「戦争の語り」を聞いて育ち、
分断の壁を受け継いでいく。
対話のための基礎体力
(表現力、想像力、共感力)を
どうやったらつけられるか。
正直にいうと...
緊急支援や医療支援が長かった私には、
結果がすぐに見えない
こういうのは戸惑いもあります。
ゴールがあまりにも遠すぎて、
うわぁ、なんでこんなこと始めたんだろう
と思うこともあります...
耕しはじめた土地が粘土質のカチカチで
"ダメだこりゃ”
とクワを放り投げる時の感覚です。
でも...
イラクでの人道支援を突き詰めたらここに至った
という判断は
間違ってないと信じたいです。
日本で教育に携わる方々のご協力やご助言が得られたことは、
私の人生を変えました。
50歳からの私の「生き方」は、
(来月で51歳、うほ!)
これまで通りパシリだけれど、
緊急時には戦闘地域で困っている人に物資を届ける「飛脚」、
非戦闘地域では
「あきらめずに種をまく人」
になりたいと思います。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
さて、前置きがかなり長くなりましたが、お知らせです。
ブックドネーション
はじめました!
ブックドネーションとは、ご購入いただいた絵本もしくは紙芝居を、
ドホーク県内の
シリア難民・イラク国内避難民キャンプ
ドホーク市内の
「ヒヴィ子ども病院」と「がん&サラセミアセンター」の
入院または治療を受けている子どもたちに直接お届けする
ギフトプランです。
現在のところ、2種類あります↓↓↓
『いちばんはだれのしっぽ?』(アラビア語版)
『いないいないばあ』クルド語版
これまで英語の絵本の購入をしていたドホークに唯一あった洋書屋さんが閉店し(!)
地元の本屋さんの中には子どもの本を扱わなくなったところも出てきて(!)
アラビア語の絵本も新たな入荷がほとんど見られません😞
クルド語に至っては、もう全部出し尽くしてしまいました😓
元々、クルド語の方は
物語としてちゃんとした”絵本”になっているのは
4冊しかなかったのです...
オンライン読み聞かせを一時ストップした理由のひとつが、これです。
本がない。
ブックドネーションの絵本は、
出版社と話し合ってセレクトしました。
翻訳はイラクの若手翻訳家、
監修は数々の絵本や紙芝居の翻訳をされてきた片桐早織さんにお願いしました。
日本語から英語、英語からそれぞれアラビア語とクルド語にしていきました。
絵本の翻訳って難しいですね!
翻訳者のみなさんの打ち合わせややりとりに参加しながら思いました。
他にも翻訳中の絵本と紙芝居もありますので、お楽しみに!
ちなみに、「ちっちゃいこえ」は難航しそうです。
というか、難航しているようです...。
イラクの若手翻訳者たちには、
どんどん腕を上げて今後も児童文学の普及のため活躍してもらいたいです。
来年は実現したいことがたくさんあるなぁ。
Stay tuned!!
by nao-takato
| 2020-12-12 21:39
| 平和/対話