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医療システムが脆弱なイラクで新型コロナ感染急増。


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先週、友人の医師が「祈って。感染してしまったの」とメッセージを送ってきた。

そばに飛んで行ってお世話したいけど、

できないから毎日メッセージを送っているが、一昨日から連絡がない。

電話もしてみた。出ない。


6月から感染者急増のイラク。グラフは衝撃的だ。

4月頃までは「治安の悪いところは人の行き来も少なくて、感染も少ない」

なんて言ってたアンバールも、ここに来て右肩上がりの感染拡大。

メッセージを送ってきた医師もアンバール県の病院で働いていた。

6/30時点で、49,109名が感染確認、回復者24,750名、死者1,943名。


(以下、記事の要約)

アル・アラビー
「イラク 感染者急増が長時間労働の医師たちを追い詰める」
2020年6月30日


給料未払い、マスクなどの不足、患者の家族からの脅し、
イラク中の医療従事者たちが、
以前から懸念されていた急激な感染拡大に打ちのめされている。


「もう無理です。もう患者さんに集中することさえできません」
と48時間シフトを終えたバグダッドの医師。

「この1ヶ月で私の知り合い16人の医師が感染しました」



北部のクルド人自治区でも感染急増は、その数を5,000名以上に押し上げた。

そこには少なくとも200名以上の医療従事者が含まれる。

死者は160名を超えた。

バグダッドの連邦当局と同様、

クルド自治政府も公務員給料の支払いに苦慮している。

パンデミックによる石油価格の下落と景気停滞が原因だ。

これは、公立の医療機関の職員たちに大打撃を与えた。

2ヶ月間、給料は支払われていない。



今月初め、クルド自治区の公立病院の疲弊しきった数千人の医療従事者たちは、

新型コロナ感染者以外の患者の受け入れを停止すると発表した。



「自治区内の少なくとも20,000人の医療従事者たちが

この部分的なストライキを支持しています。」

とスレイマニヤの医師会のハウジン・オスマン氏が言う。

「過去2週間で800人の医師も参加しています。」


「毎日10時間シフトで、コロナ感染者だけを診ています。」
スレイマニヤ研修医組織の代表クルダ。
クルダは、2019年は3ヶ月の給料未払いがあり、
今年は4月も5月も払われていない。



イラクの当局と医療従事者たちは、

荒廃した病院の状況についてずっと非難し続けて来た。

度重なる戦争で傷み、医療機器の不足、汚職は予算を食い潰して来た。



カーデム首相までもが「われわれには医療システムはない」と報道陣に語った。
「医療システムは破壊されており、最低限の機器さえ整っていない。
なぜなら、それを仕切ってきた人物たちが無能だったからだ。
それが何年間も蓄積されてしまったのだから」



イラクでは、医師が患者の家族に脅されることがよくある。
今週、南部のティカール県で
女性の医師が患者の親戚から襲われたことをきっかけに、
イラク医師会はストライキすると宣言した。



首都バグダッドでは、いくつかのコロナ感染病棟の医師たちが、

同僚も含め過労で倒れる寸前だと言った。

長時間労働に対して長期間、何も報酬が出されないことに不満をあらわにした。



感染病棟で働く27才の医療者。

「ISとの戦いで野戦病院で働いた医師たちにも報酬はなかった。

死者550人を出した昨年10月の大規模な反政府デモでも

医師たちは報酬なしで働いた」



アル・キンディ教育病院で働くファラ。

「N95マスクが月に5枚。それしか病院は支給してくれない」

しかし、感染者との接触が多く、頻繁にマスクを変えなければならないので、

毎月の手取りの給料750ドルで防護装備の購入をするようになった。

「もしさらなる長時間労働になり、仕事量も増えるなら、

われわれもストライキに入るだろう」と彼は言った。



バグダッドの別の病院では、

26才の医師が、自身のメンタルが崩壊していたと認めた。


「コロナ前は、友人や家族に会うことで仕事のプレッシャーから回復していた。

だけど、今は、仕事でも隔離状態、家でも隔離状態だ」



彼や他の医師たちが最も恐れていることは、

彼らの患者から彼らの家族に感染してしまうことだ。

感染の速さから、彼らの最悪の悪夢は現実のものとなるかもしれない。


「ひと月ほど症状があったんだけど、勤務を続けろと言われた。
われわれ全員が感染するのも時間の問題だよ」


by nao-takato | 2020-07-01 08:35 | イラク全体

リアルタイムでイラクの今をお知らせする為の公開日記


by nao-takato