新年のご挨拶とイラクの今について
2020年 01月 07日

そして... イラクの今。
新年早々、正月気分も吹っ飛ぶイラクでの大事件。
テレビニュースをあちこちに切り替えながら、イラク人とチャットを続けています。
(私が住んでいるところはイラクと言ってもクルド自治区で、
治安はだいぶ安定しているところです)
2014年の危機の時にもほとんど雄叫びのようにお伝えして参りましたが、
イラクのニュースがほとんどない中、
泥沼か大事件の時しか出てこない点と点の情報を繋げてしまうと読み違えてしまいます。
こういう時は特に、努めて冷静にと言い聞かせております。
昨日(1月4日)はバグダッドではスレイマニ氏とムハンディス氏の葬儀が行われ、
数千人規模の葬送行進の様子がニュースで出ていましたが、
ここで申し上げておきたいのは、
この群衆はタハリール広場のデモ参加者たちではありません。
旗に注目です。
彼らの死を悼んでいるのは、イラン系シーア派民兵とその支持者になります。
タハリール広場のデモ隊は、不謹慎な言い方になりますが、訃報にホッとしている状態です。
なぜなら、信じられないほど多くの命が彼の指揮の元で奪われてきたからです。
でも、米軍支持というわけではありません。
「ホッとしたのは本当。
だからと言って、アメリカの軍事行動を支持している訳ではない。
イラクを戦場に使うな」
と言うのがデモ隊の声で一番多いかと思います。
デモ隊は、アメリカにもイランにももうウンザリしているのです。
再び「第3次世界大戦」という言葉が飛び交い始めましたが、
イラクの中で新たな分裂が起きつつあります。
シーア派内戦が起きる可能性も否定できない状況かもしれません。
そうなれば、アメリカは自国の兵士を戦わせずに済みますし...。
いずれにしても、イラクは戦場になってしまう...。
一体、どうなるのか予測つきません。
嫌な想像しか出てきませんが、
日本の自衛隊海外派遣にも関係してきますし、
ここはしっかり注視していきたいと思います。
追記:昨夜(1月5日)は、米大使館を狙ったシーア派民兵のロケットが誤爆し、関係ない家族5人が亡くなりました。今日、送られてきた動画は、友人の家の上空を米軍のヘリが旋回しているものでした。イラク議会が「イラクからの米軍(外国軍)撤退」を採択しましたが、デモ隊は「イラク議会は我々を代表していない」と訴えています。
1/17に東京都内で報告会の予定です。
イラク戦争後にイラン勢力が入ってきた時のことを思い出しています(戦慄)。
こんなに気が滅入る報告会もないですが、お時間許しましたらぜひ。