レバノンで白リン弾について考えた。

レバノンの世界遺産バールベック遺跡のある町は、
2006年にイスラエル軍の空爆を受けた。
(イスラム教シーア派ヒズボラの本拠地のため)

イスラエル軍はこの攻撃で白リン弾を使用したことを認めている。
当時のハーレツ紙に、
バールベックの医師が、
白リン弾の犠牲者と思われる複数のご遺体を病院で受け入れたとあった。

Israel Admits Using Phosphorus Bombs During War in Lebanon
read more: http://www.haaretz.com/israel-admits-using-phosphorus-bombs-during-war-in-lebanon-1.203078


今回、バールベックでその医師に会って話を聞くことができた。
病院に運ばれてきた8~12体のご遺体の皮膚は、
黒緑色、黒光りしていたという。
そのうち3体は、
完全に縮まって小さくなっていたそうだ。

「”バキュームボム”というのが使われたとレバノンの多くの人が考えている。
縮まった遺体があったのはその爆弾のせいだと思う」
医師は、人体でも建物でも縮まってしまうんだと説明する。
にわかには信じられない。

ベイルートに戻ってググって見たら、
いろいろ出てきた。
「英軍がアフガンでタリバンにバキューム爆弾使用」という記事があった。
Britain admits to using 'brutal' vacuum bomb against Taliban

強烈な圧力で建物や人体から空気を抜き、
内蔵がズタズタ、人体が圧縮される、
内蔵が破裂する前に窒息死する場合も…。
人権団体から「最も残忍な兵器の1つ」と批難されているとか。
80年代にロシアがすでに使ってるらしい。
しかし、よくこんなこと考えるよな。

話を戻します…。
06年のイスラエル軍による攻撃の時に、
受け入れたご遺体の写真やデータはすべて、
その後にやってきた調査グループに提供してしまい、
何も残っていないということだったが、
ご遺体の様子はよく覚えているようだった。
医師いわく
「これまで何度も空爆などによる死傷者を見てきたが、
このような遺体を見たのは初めてだった」

バールベックに調査に来たのは、
イタリアの市民調査チームらしいが、
この医師が確認した黒いご遺体は、
白リン弾の特徴だと告げていったそうだ。

イスラエル軍は08年年末から09年1月にかけてガザを攻撃した時も白リン弾を使用した。

今年5月、イタリアとパレスチナの合同調査チームが、
ガザで先天性欠損症が増えていることと白リン弾の関係を示す調査報告を発表した。
論文はまだ読んでないが、
記事によると、白リン弾の金属毒性は胎芽(胎児)に影響を与え、
先天性欠損症を引き起こすというようなことが書かれている。
発ガン物質、奇形因子が多く含まれているとか…。

New study finds strong correlation between Gaza birth defects and exposure to white phosphorus

2004年のファルージャ総攻撃の映像を見てもらった。
米軍はこの攻撃で白リン弾を使用したことを認めている。
身元がわからなくなっている黒光りしたご遺体を見て
「これだ、私が見たのとそっくりだ」と医師は言った。

ただ、骨まで真っ黒に焦げた遺体と、
皮膚が青白くなりべろんと剥けている遺体に関しては、
「見たことがない」と首を振った。
顔面が火傷でボコボコになり、
鼻だけ残っているファルージャの負傷者についても、
「見たことがない」と言う。

真っ黒に焦げた遺体に関しては、
「劣化ウラン弾じゃないのか?」と…。
それに火傷の程度もそれぞれあるだろうとも思った。

じゃあ…
青白い皮膚が剥けたあのご遺体は、
どんな兵器の影響なんだろう?
長年の疑問、いまだ解けず。
白リン弾でも劣化ウラン弾でもないなら、
じゃあ、何だろう?

ところで…
ファルージャやラマディにおける先天性欠損症と高い新生児死亡率は、
やはり尋常ではない。
劣化ウラン弾による内部被ばくもその一因であろう。
前述のように、
白リン弾と先天性欠損症との関係性を示す報告も出てきた。
いずれにしても、後を引く厄介な兵器だ。

白リン弾攻撃を受けたイラクとレバノン。
ご遺体の状態に共通点はあった。
ただ、ERの医師一人の証言だけでは足りない。
また、先天性欠損症については
「知らない。聞いたことない」と医師は繰り返した。
そこに関してはあまり関わりたくない様子だった。
小児科医や産婦人科医の話も聞いてみたかった。

ガザに関しても、
もっと調査が必要だろうけど、
出て来た報告や論文はこれからもチェックしていきたい。
そして、ファルージャのことを調べている人たちとも、
意見交換をしていこうと思う。

日本国内でも北海道や富士山の近くの演習場で、
在日米軍が白リン弾演習してたりする。

防衛省サイト

演習前に米軍の会見がローカルニュースで報道される。
使用する側は「発煙弾」とか「照明弾」と説明する。
ファルージャでの白リン弾使用に関しても、
テロリストを燻し出す煙幕あるいは照明弾として使用したと会見してた。

まぁ、しかし、実践で使われた様子は、
凄惨極まりない。
それだけは言える。
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by nao-takato | 2012-08-13 08:13 | ラマディ/ファルージャ

リアルタイムでイラクの今をお知らせする為の公開日記


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