在ヨルダンイラク難民サポート'10年7月(義足)
2010年 07月 14日
先々週、アンマン市内のスタジアムでワールドカップのパブリックビューイングがありました。
アンマンでのイラク医療サポートを一緒にやっているイラク人女性のマハが、戦争被害者のグループと電話で話していました。すると、突然マハが私に話しかけてきました。
「ナホコ、明日スタジアムに戦争被害者のグループ15名がパブリックビューイングに来るけど、彼らに会ってみる?」
「もちろん行く」
翌日、炎天下の中、スタジアムはたくさんの人々で賑わっていました。その日はドイツとアルゼンチンとの試合でした。ちゃんと、ドイツサポーター、アルゼンチンサポーターがいました。


戦争被害者のグループは、ヨルダンのNGOの招待でバスに乗って来ていました。
どの人も車椅子か、義足、あるいは松葉杖の人でした。
そこで、私はムルタダさんという方にイスマイルくんとアブドゥルハミードさんを紹介されました。
イスマイルくんは、右膝下から切断、アブドゥルハミードさんは右太腿から切断されていました。
(写真左から、アブドゥルハミード、筆者、イスマイル、マハ、ムルタダ、台湾バックパッカーのジェームス)イスマイルくんは、とても孤独な感じがしました。笑顔はなく、足を切断してから数年経っているのに義足を付けていませんでした。2003年10月、足に銃撃を受けて病院に運ばれ、切断。
アブドゥルハミードさんは2007年、太腿に銃撃を受けイラクの病院でやはり切断。
彼の場合、ここまで切断する必要はなかったそうですが、今のイラクではこれが唯一の選択だったそうです。
つまり、医療環境が崩壊した状態の上、負傷者が絶え間ない。
医者たちは目の前のことで精一杯なのだ、とアブドゥルハミードさん本人に説明されました。
彼の義足は、ヨルダンに来てすぐにある団体が作ってくれたそうです。
ただ、装着部分が痛むらしく、ティッシュペーパーをクッション代わりに入れていました。
また、シリコン製ではなかったため、太腿が痩せてしまって包帯をぐるぐる巻きにしないとサイズが合わなくなってしまっていました。
また、膝のジョイントが腰に付けられたフックで曲げ延ばしするようになっていて、歩きにくかったそうです。また、深く膝を曲げられないとのことでした。
翌々日、私の知っている義足センターで待ち合せをし、義足の見積を出してもらうことにしました。
イスマイルは以前に義足で痛い思いをしたからか、まったく乗り気ではありませんでした。
なので、イスマイルの件は保留としました。
まずは、彼の心が開かれなければ無理だと技師の方に言われました。
アブドゥルハミードは細かく要望を伝え、膝のフリージョイントが付けられるならととても乗り気でした。
彼が技師と打ち合わせ中、イスマイルの話を聞きました。
彼の左腕には大きな傷痕が残っていました。
突然自宅に押し入ってきた武装グループに大きな刀のようなもので切られたそうです。
首も切られた、と言って襟足を見せてくれました。
でも、身体に支障は来さなかったから良かったと言っていました。
家族は全員殺されてしまったそうです。
イスマイルの体験談を涙なしには聞けませんでした。
技師に見積を出してもらってから、もう一つの義足センターに行きました。
ここに来て、イスマイルは急にやる気を見せ始めました。
さっきのセンターにはなかったドイツ製のシリコンがあり、そのフィット感がお気に召した様子でした。
見積りの値段、知人の医師の推薦、義足を付ける本人たちの希望などを考慮し、若干の値段交渉の後、このセンターの技師にお願いすることになりました。
翌々日、2人の計測をしてもらい、石膏で型を取りました。
イスマイルの義足は数日でできるとのことでした。
アブドゥルハミードのは少々時間がかかるとのことでした。写真はアブドゥルハミードの計測の様子。


そして、今日、イスマイルの義足が出来上がり、フィッティングをしました。
うれしそうでした。




今度は、靴です。
みんなで近くのモールにイスマイルの靴を買いに行きました。
アディダス専門店が25%OFFセールをやっていました。
技師に言われたとおり、かかとの高さが1.5センチ程度のものを探しました。
気に入った靴があり、購入。
これは、彼の”再出発”を祝って、私からのプレゼント。
店員さんに交渉して靴下2足、サービスで付けてもらいました (^o^)v
彼は33歳。まだまだ出来ることがある。がんばってほしい。Tシャツに短パンでアディダスのバスケットシューズ履いたら、なんか今にもシュートできそう。いい感じ。杖なしで歩いたぞ!
イスマイルから日本のみなさんにメッセージをもらいました。
「本当にありがとうございます。とても幸せです。カンパに協力してくださったみなさんには本当に感謝しています。いつかこの足で日本に行ってみたいです」
そして、こんなことを言いました。
「僕の話を聞いて涙を流した人を見たのは初めてだった。僕にはもう僕のために泣いてくれる家族がいない。あなたは私のシスターです」
そう言ってもらって胸がつまりました。
記念写真を撮りました。イスマイルのブラザーとなった台湾のジェームス。彼は台湾からイラク支援カンパを集めて持ってきてくれていました。ありがとう!そして、イスマイルのシスターになった筆者。でも、イスマイルには結婚して新しい家族を作ることもあきらめてほしくないな。
<支援対象>
在ヨルダンイラク戦争被害者2名
<支援内訳>
義足(膝下)イスマイル(prosthesis for Isamail)
義足(膝上)アブドゥルハミード(prosthesis for Abdulhameed)
---------------------------------------------------------------------------------
計total $5,225-
アンマンでのイラク医療サポートを一緒にやっているイラク人女性のマハが、戦争被害者のグループと電話で話していました。すると、突然マハが私に話しかけてきました。
「ナホコ、明日スタジアムに戦争被害者のグループ15名がパブリックビューイングに来るけど、彼らに会ってみる?」
「もちろん行く」
翌日、炎天下の中、スタジアムはたくさんの人々で賑わっていました。その日はドイツとアルゼンチンとの試合でした。ちゃんと、ドイツサポーター、アルゼンチンサポーターがいました。


戦争被害者のグループは、ヨルダンのNGOの招待でバスに乗って来ていました。
どの人も車椅子か、義足、あるいは松葉杖の人でした。
そこで、私はムルタダさんという方にイスマイルくんとアブドゥルハミードさんを紹介されました。
イスマイルくんは、右膝下から切断、アブドゥルハミードさんは右太腿から切断されていました。

アブドゥルハミードさんは2007年、太腿に銃撃を受けイラクの病院でやはり切断。
彼の場合、ここまで切断する必要はなかったそうですが、今のイラクではこれが唯一の選択だったそうです。
つまり、医療環境が崩壊した状態の上、負傷者が絶え間ない。
医者たちは目の前のことで精一杯なのだ、とアブドゥルハミードさん本人に説明されました。
彼の義足は、ヨルダンに来てすぐにある団体が作ってくれたそうです。
ただ、装着部分が痛むらしく、ティッシュペーパーをクッション代わりに入れていました。
また、シリコン製ではなかったため、太腿が痩せてしまって包帯をぐるぐる巻きにしないとサイズが合わなくなってしまっていました。
また、膝のジョイントが腰に付けられたフックで曲げ延ばしするようになっていて、歩きにくかったそうです。また、深く膝を曲げられないとのことでした。
翌々日、私の知っている義足センターで待ち合せをし、義足の見積を出してもらうことにしました。
イスマイルは以前に義足で痛い思いをしたからか、まったく乗り気ではありませんでした。
なので、イスマイルの件は保留としました。
まずは、彼の心が開かれなければ無理だと技師の方に言われました。
アブドゥルハミードは細かく要望を伝え、膝のフリージョイントが付けられるならととても乗り気でした。
彼が技師と打ち合わせ中、イスマイルの話を聞きました。
彼の左腕には大きな傷痕が残っていました。
突然自宅に押し入ってきた武装グループに大きな刀のようなもので切られたそうです。
首も切られた、と言って襟足を見せてくれました。
でも、身体に支障は来さなかったから良かったと言っていました。
家族は全員殺されてしまったそうです。
イスマイルの体験談を涙なしには聞けませんでした。
技師に見積を出してもらってから、もう一つの義足センターに行きました。
ここに来て、イスマイルは急にやる気を見せ始めました。
さっきのセンターにはなかったドイツ製のシリコンがあり、そのフィット感がお気に召した様子でした。
見積りの値段、知人の医師の推薦、義足を付ける本人たちの希望などを考慮し、若干の値段交渉の後、このセンターの技師にお願いすることになりました。
翌々日、2人の計測をしてもらい、石膏で型を取りました。
イスマイルの義足は数日でできるとのことでした。
アブドゥルハミードのは少々時間がかかるとのことでした。写真はアブドゥルハミードの計測の様子。


そして、今日、イスマイルの義足が出来上がり、フィッティングをしました。
うれしそうでした。




今度は、靴です。
みんなで近くのモールにイスマイルの靴を買いに行きました。
アディダス専門店が25%OFFセールをやっていました。
技師に言われたとおり、かかとの高さが1.5センチ程度のものを探しました。
気に入った靴があり、購入。
これは、彼の”再出発”を祝って、私からのプレゼント。
店員さんに交渉して靴下2足、サービスで付けてもらいました (^o^)v

イスマイルから日本のみなさんにメッセージをもらいました。
「本当にありがとうございます。とても幸せです。カンパに協力してくださったみなさんには本当に感謝しています。いつかこの足で日本に行ってみたいです」
そして、こんなことを言いました。
「僕の話を聞いて涙を流した人を見たのは初めてだった。僕にはもう僕のために泣いてくれる家族がいない。あなたは私のシスターです」
そう言ってもらって胸がつまりました。

<支援対象>
在ヨルダンイラク戦争被害者2名
<支援内訳>
義足(膝下)イスマイル(prosthesis for Isamail)
義足(膝上)アブドゥルハミード(prosthesis for Abdulhameed)
---------------------------------------------------------------------------------
計total $5,225-
by nao-takato
| 2010-07-14 09:10
| 支援/プロジェクト