イラクの友を誇りに思う。

b0006916_0103111.jpgここ最近、このブログでもなんとなくおしらせしてきたラマディ情勢です。少しだけ詳しく書きたいと思います。ラマディは現在、イラクで一番安全な場所になりました。数ヶ月前まで、アメリカから「テロとの戦いの最大拠点」と名指しされていた地域が、ここ3ヶ月にわたり、ほとんど死傷者が出ていません。つまり、アメリカ軍が掃討作戦をしていないのです。これはイラク政府ではなく、部族長たちの外交によるものです。アンバール州は特に部族の結束が固い地域です。

カーシムたちは部族長にさまざまな再建企画を提案し、部族の理解とサポートを受けて現在大忙しです。この写真は下水管の工事をやっているところです。真ん中の白い服はカーシムです。蛍光色のベストを来ているのは、カーシムの元で働く地元の若者です。
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雇用創出はすでに100人以上を超えています。また、不発弾の除去なども進めています。ますます悪化するバグダッドからの避難民の受け入れも連日増加傾向にあるそうです。バグダッドだけでなく、シリアに120万人いるとされるイラク避難民の中にも、ラマディに流れる人が増えてきた模様です。これから、もっともっと非政府の人道支援が必要になってきます。

部族とアメリカ軍でどんな話し合いが行われているのか詳細はわかりません。基本は、共通の敵がアルカイダ系武装勢力とイランであることが大きな要因のようです。また、この状態を手放しで喜べるかというとそうでもありません。この先に待っているのは、恒久的な米軍基地、新たに見つかったアンバール州の油田や天然ガスなどの資源など一筋縄ではいかない問題は少なくありません。そしてアメリカとしては来年の大統領選挙に向けて、イラクでのモデル地域をなんとしてでも作り出したいという思惑もあるでしょう。

それでも、住民にとってはこの4年で経験したことのない平穏の時です。先月、ラマディ市内の警察検問所に向けての攻撃がありました。警察といっても、地元の部族によって組織された独自の警察組織です。この攻撃に対して住民は過剰な反応を示していません。なぜなら、平穏の時をしっかりと味わっているからでしょう。この部族警察に対して、イラク政府はおもしろくないのですが、アメリカ軍の承認の元に組織されていることもあり、解散させることはできないようです。いずれにせよ、掃討作戦がない、戦闘がない、死傷者が出ていないというのは奇跡のようなことです。いつもなら、数日停戦があってもアメリカが空爆を始めることですべて決裂してきました。この平穏の時を通じて、いかにラマディで米軍の掃討作戦が無駄に人を殺してきたかがよくよくわかります。この地域での問題は、爆弾テロではありませんでした。最大の問題はアメリカ軍による攻撃で出るおびただしい民間人の犠牲者だったことを絶対に忘れてはならないでしょう。

しかし、バグダッドは狂気の沙汰、まさに非常事態です。クルド地域の国境線にあるモスルではクルドの民兵が物売りの子どもにも発砲しているような事態も起きています。イラン国境に隣接するディヤラ州ではアメリカ軍の掃討作戦が激しさを増しているとのこと。

ラマディは密閉かつ分断されたイラクに風穴を開けることができるでしょうか?懸念されるのは、イラク人同胞たちの正しい理解を得られるかどうかです。アルカイダ系戦術をとる武装勢力との混同、間違った戦略、誤解、情報操作で、同胞にさえ悪の巣窟と信じられているのがラマディやファルージャです。イラク人が本来の感覚を取り戻し、本来のイラクに再びリユナイテッド(再統合)できるかどうかです。

それにしても、何人ものイラク人が「アンバール州の情勢を教えてくれ」と私に聞いてきます。なんと不思議な話でしょうか。イラク分断の深刻さを痛感せざるを得ません。

私は、カーシムや他のメンバーたちがこの再建で大きな役割を果たしていることを大変誇りに思います。カーシムたちが3年間かけて住民を説得してきた「破壊よりも再建を」がやっと耳を傾けてもらえるようになったのです。最も危険な場所でいかなる武力行使も拒み続け、再建を目指してきた彼らを、私はスゴいと思います。

ラマディの人たちは、この平穏の時を自分たちの手で手に入れたのです。私たちは今こそ、本当の人道支援をするべきです。そして、何をやってはいけないのかを真剣に考えるべきでしょう。私たちは国際社会で生きているのですから。
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by nao-takato | 2007-08-08 00:51 | ラマディ/ファルージャ

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