イラク人女性(スンニ派)の話

マレーシアはイスラム国です。現在、イラク人が自由に入国できる国はシリアとマレーシアです。マレーシアの首都クアラルンプールで聞き取りをしてきました。以下は、あるイラク人女性の体験談です。彼女はバグダッド市内某地区に3人の息子と住んでいました。現在は、長男が海外留学中、次男はイラク北部に滞在中、三男は彼女と一緒にシリアに滞在中だそうです。ちなみに、息子たちの名前ですが「オマル」と「マルワン」はスンニ派特有の名前です。「セイフェッディン」はスンニ派に限らないそうです。

=========================================
Q:イラク国内で女性に対する抑圧を感じますか?
2005年の新政府設立後、イラク政府は女性の人権については無視しています。特にスンニ派女子にとって民兵は大問題です。多くの女性は夫を殺されていて、経済的には逼迫しています。その数は想像以上に多いにもかかわらず、ほとんど関心が寄せられていません。

Q:イラク女性にとって新憲法はどう受け止められていますか?また、新憲法は改正が必要だと思いますか?
新憲法は差別的な観念が多く含まれています。例えば、バース党に対しての激しい差別的観念、全体的に宗教色が強すぎます。また、連邦制はイラクを分裂させるので賛成できません。また、女性蔑視の問題があります。例えば、異教徒間、宗派間の結婚や離婚が女性にとって不公平且つ不利です。例えば、離婚調停の場合、新憲法では夫の宗教によって裁かれることになります。従って、異教徒間や宗派間の結婚はこれまでと違って夫の宗教や宗派に従わなければならないということです。

Q:戦前の憲法ではそれはなかったのですか?
ありません。例えば、離婚調停なども宗教で裁かれるのではなく、法律で公平に裁かれていました。

Q:なぜイラクを出ようと思ったのですか?
理由はたくさんあります。特に女性は住める状況ではありません。また、私の場合、脅迫状を何度も受けました。

2006年11月、最初は長男オマルがバグダッドの空軍学校(グリーンゾーン内イラク国防省管轄)に通っていた時で、彼が脅迫を受けました。彼の携帯電話にメールが来て「お前は汚いスンニ派だ。パイロットの勉強を今すぐ止めろ。でなければ殺す」と書かれてありました。それでも、オマルはパイロットの勉強を続けました。この携帯メールには送り主の電話番号が表示されていたので、オマルはコールバックして「もしお前に勇気があるなら俺に会いに来い」と言いました。オマルはその相手に「お前は何者だ?」と聞きましたが、「お前には関係ない」と言い返されたそうです。

オマルは何度も脅迫を受けていましたが、最初の頃は母親である私には隠していました。しかし、あまりにも脅迫が続くので、彼は私にそのことを打ち明けてきました。私は彼に心配しないで、なんとかするわと言いました。そして、空軍学校のあるグリーンゾーンから出ないように、家に帰ってこないように言いました。また、携帯の電源を切るようにも言いました。翌月(2006年12月)、彼は優秀な成績で卒業できたので、米国留学の奨学金を得て、渡米しました。

b0006916_2172185.jpg彼女の携帯電話に来た脅迫状「オマルの母へ 俺はお前の息子たち、オマル、マルワン、セイフェディンを忘れない。息子の首を一人ずつ届けてやる」

その後、私の携帯に脅迫が来るようになりました。誰が脅迫しているかは定かではありませんが、私は最初、空軍学校のマネージャーを疑いました。なぜなら、息子や私の携帯電話番号を知っていて、携帯番号を変えてもすぐにかかってきたからです。最終的にはギャングではないかと思っています。家族は誰も誘拐はされてはいませんが、大金を要求されたりもしました。

Q:三男セイフェッディンは学校に行ってましたか?
いいえ。バグダッドは危険すぎたので学校には行かせませんでした。その後、シリアに来て1年落第したことになります。

Q:シリアで学校に行かせますか?
わかりません。貯金を切り崩して生活しているので、経済状況からどうなるかわかりません。夫のいるエジプトに行かせるかもしれません。私はまだ良い方です。シリアで深刻な貧困状況に陥っているイラク人家族はたくさんいます。

Q:女性の不当拘束やレイプ被害について教えてください。
バグダッド市内のダルラハマ孤児院を訪ねた時がありました。女子男子共に40名ほどで全体で80名ほどいました。その時、何人かは外出中でした。女子は主に18歳以下、1人は大卒だと言っていましたが、IDは持っていませんでした。その時、私はメディアチームと一緒に訪ねたのですが、子どもたちがクルーを怖がったので、人払いをして別室で話を聞きました。孤児院の女子はほとんどスンニ派で、元囚人でした。彼女たちに何か欲しいものはないかと聞くと、性病の薬(女性器の薬)が欲しいと言いました。彼女たちは売春をしていました。古い建物で部屋はとても汚く、衛生状態は最悪でした。貯蔵庫に食料はあるのに、孤児たちは飢餓状態にありました。マネージャーは食料を十分に与えていなかったのです。台所はゴミ箱のようで、調理をできる状態にはありませんでした。

女子の何人かは妊娠していました。ダルラハマ孤児院は売春宿になっていて、マネージャーが客の対応をしていると彼女たちは証言しました。
私がその孤児院を訪ねた時、50歳くらいの障害者の男がいました。彼女たちに「あの人は誰?」と聞くと、「女の子を買いに来た人」と言いました。男はイラク人でした。

Q:女の子たちはどのような経緯でダルラハマ孤児院に来たのですか?
ある女子の例を挙げますと、イラク戦争後に米兵に逮捕され、刑務所内でレイプされたとのことでした。釈放後、彼女は逮捕されたことと、レイプされたことの強い羞恥心から実家に帰らなかったそうです。家族から咎められることを恐れ、社会から囚人扱いされることを恐れたのです。そして、自分からこの孤児院にやって来たということです。

Q:彼女は家族からの名誉殺人を恐れたのですか?
まず、家族と社会からの阻害を恐れたのです。囚人となったこと、民兵からもテロリスト扱いされることになれば、さらに大変なことになります。また、イラク社会にはいまだに名誉殺人も実際にあるのです。

Q:名誉殺人についてどう思いますか?
もちろん、受け入れられません。

Q:他にどのような女性の人権侵害がありますか?
外国に売られているケースがあります。人身売買です。しかし、全体的にイラク人の女性人権侵害はなかなか表面化しません。なぜなら、自らその被害について語ることは、特にイスラム教徒の女性にとってはできないことであり、証言してくれた場合でも、公的に発言することはまずあり得ないからです。それでも、女性たちは民兵によって誘拐されています。誘拐しているのはイラク人男性で、イランまたはサウジアラビア国境まで女性たちを連れ去ります。こうした女性の誘拐を指揮しているのはアルハキム氏(イラクイスラム革命最高評議会)だと信じられています。実は、これについては報告書があり、被害者女性たちの名前もリストアップされています。しかし、管理者はそれを公開することを恐れています。

Q:もし、国際機関がその報告書を必要としたら入手できますか?
はい、管理者のセキュリティを守ってくれることを約束していただければ。

Q:レイプで妊娠した場合、中絶などは行われるのですか?
以前は、病院で中絶が可能でした。現在は、民兵に誘拐されてレイプされた場合、直後ただちにその場で殺されます。例えばムスタンシリア大学の女子大生3名がマフディ軍に誘拐されたケースがあります。全員がスンニ派でした。彼女たちもレイプされた後に殺されました。しかし、こうした非常に目立ったケースであっても、イラク政府はまったく何もしません。現在、ムスタンシリア大学はマフディ軍に占拠されていて、教室からはスンニ派の学生は追い出されました。現在、大学に教師も学生もスンニ派は1人もいません。

Q:他に何かあればどうぞ
イラク女性はサポートが必要です。手紙を書きますので、ぜひ読んでください。
[PR]
by nao-takato | 2007-03-06 02:34 | イラク全体

リアルタイムでイラクの今をお知らせする為の公開日記


by nao-takato