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12月4日 爆風と破片

イラク人ジャーナリストからのレポートです。シリア国境に近いカイムで、掃討作戦中に起きたことです。

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カリード。彼はカイム在住で、妻と4人の子どもに恵まれていた。

2005年9月2日。カリードは兄弟であるラマダンの家を家族みんなで訪ねることにした。親族水入らずで過ごした夜の翌日に、とんでもないことが起きることを彼は想像してはいなかった。
翌朝、カリードはラマダンの家に家族全員を置いて、兄弟と一緒に仕事に出かけた。

12月4日 爆風と破片_b0006916_23115837.jpg午後3時、ラマダンの家の中庭で家族が子どもたちと遊んでいたその時、米軍の戦車が爆撃し、中庭ににいた5人の子どもが死んだ。カリードの息子のワリード5歳とアハメド4歳、ラマダンの息子たちのラガード8歳、イスラ4歳、アナス6歳。そして、9人が負傷した。カリードの娘のアラー3歳も負傷していたが、あまりにひどいケガだったので、アラーは死んだものと思われていた。しかし、カイム病院に運ばれて1時間後に、アラーが生きていることがわかった。

12月4日 爆風と破片_b0006916_23121739.jpgしばらくして、アラーは負傷者たちと一緒にハディーサ病院に搬送され、1週間入院した。アラーの腸には45個の小さなな砲弾の破片が入り、左足にも無数の破片が入り込んでいたのだ。カリードの妻は左目を負傷し、腹部にも破片が入り込んでいた。

カリードは言う。
「私は決して忘れない。アメリカがどのように妻や娘を傷つけたか、どのように息子たちを殺したか、私の兄弟たちやその家族をめちゃくちゃにしたか、私は決して忘れない。この町カイムを破壊し、この国イラクを破壊した。私は決して忘れない」
(※上の写真2枚は破片が入ったアラーの腹部と左足)

カリードは続ける。
「米軍は、戦闘機、ヘリコプター、戦車で何度もカイムへの攻撃を繰り返し、数え切れないほどの戦争犯罪を犯している。サガル一家は自家用車に乗っているところを、米軍の戦闘機に空爆され、乗っていた7人全員が死んだ。われわれは彼らを一つのお墓に埋葬した。もう骨しか残っていなかったからだ。クワン一家は、在宅中に戦闘機に空爆され、両親と子どもたちの計13人全員が死んだ……。カイムはもう自由には歩けない。検問所があちこちに置かれ、医薬品も食料もほとんどない。停電が続き、毎日のように家々が空爆され、罪のない人たちが次々に連行されていく。まるで、地獄だ……」

これが占領下のイラクでの日常だ。治安は守られず、いつどこで危険にさらされるかわからない。
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by nao-takato | 2005-12-04 23:08 | イラク全体

リアルタイムでイラクの今をお知らせする為の公開日記


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