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イラク戦争がなかったら、この子はここまで苦しむ必要はなかっただろう。

<支援対象>
在ヨルダンイラク難民の6歳男児の手術費用

<支援内訳>
800ドル

14日(水)に、来ヨルダン中のイラクホープネットワークメンバーの明美さんと一緒に、
イラク難民2家族を訪問しました。

2軒目に訪ねた家族は、3ヶ月前にヨルダンに来たばかりというマフディさん一家。
妻と、6歳の男の子サーレ、3歳の女の子リタージ。
父親は、今年3月に覚醒評議会の警備としてバグダッドで働いていたことを理由に脅迫、誘拐されました。
(※覚醒評議会は米軍と直接交渉し米軍を"撤退"させて自警団による治安維持を提案実現。当初の費用は米軍が負担していたため、敵視するグループもいた。その後、組織が一気に拡大しすぎて統制が取れなくなりさらに評判を落とす。とほほ…)

イラク戦争がなかったら、この子はここまで苦しむ必要はなかっただろう。_b0006916_327046.jpgリタージは先天的に頭蓋骨の一部が飛び出しており、それが視神経に触っているということです。
医者には成長するにつれ、視力が落ちて行くだろうと言われています。

サーレは、先天的に膀胱と腸が結合しており、肛門がありません。
さらに、その部分の神経や筋肉がなく、人工肛門をつけています。
両足は自分で動かすことができないので、
スケボーに乗って移動していました。

二人ともとってもとっても明るくて、
思わず「カワイイ!」と声を出してしまうほど、笑顔が愛くるしい。
人なつこく、サーレは頭が良い。
スクールバッグを背負って学校に行くのをとっても楽しみにしていました。
学費は、イラク人ドナーが支払いました。
学用品は米NGOが用意しました。

イラク戦争がなかったら、この子はここまで苦しむ必要はなかっただろう。_b0006916_4102195.jpg(←これは両親が保管しているメディカルレポートの中の写真を撮影しました)イラク戦争後に生まれたサーレは、
治安が悪く、医療現場は混乱していて、外出もままならない毎日だったのです。
かろうじてつけた人工肛門は常に感染症のリスクがありました。

イラク戦争がなかったら、この子はここまで苦しむ必要はなかっただろう。_b0006916_432342.jpg(←人工肛門の所にあてるパッドと紙おむつ)この訪問時では、翌日にMRI検査をする予定になっていました。
これもイラク人ドナーが500JD支払いました。


数日たって、昨日の朝。
イラク難民支援のパートナーであるドクターバトゥールから電話がありました。
以下、私との会話。

D:「サーレが急に具合が悪くなって、母親が泣きながら電話をかけてきた。サーレの手術を一刻も早くしなくちゃいけないけど、最低2500JD(=およそ3,500ドル)はかかる。とりあえず、ドナーの1人が500JDを持って病院に駆けつけて、入院はできた」

私:「UNには連絡したの?サーレのケースは国連も承知してるはずだけど?」

D:「UNには母親が電話したけど、今月末の会議で支援できるかどうか決めるって言われたらしい。それじゃ、手遅れになる」

私:「今月末…。2週間以上も待ってられないな。しょうがない、カンパ集めよう。あと2,000JD(=2,800ドル)?」

D:「そう。手術と5日入院で2500JD。そのうち500JDはすでに払い込み済みだから。確定ではないけどね…」

私:「わかった。まず日本のカンパからいくら出せるかチェックして連絡するね」

現在、私が行っているイラク支援は複数あります。
在ヨルダンイラク難民への食料サポート、無料医薬品配付には40人以上が常にリストにいます。
イラク国内避難民への食料サポート、医療支援や教育支援など。
銀行口座のステートメントを見ながら、もう一度カンパの振り分けをしました。

よし、サーレに800ドル。

イラク人ドナーに連絡。
サーレの家庭訪問や学用品の支援をした米NGOにも連絡。
代表のサシャが電話口で「オーマイガーッ!」と驚いていました。
彼女はすでにサーレの手術代カンパをフェイスブックで呼びかけていたので、
48時間以内にできるだけ集めたいともう一度呼びかけ直してくれとお願いしました。

イラク戦争がなかったら、この子はここまで苦しむ必要はなかっただろう。_b0006916_4304038.jpgイラク戦争がなかったら、この子はここまで苦しむ必要はなかっただろう。_b0006916_430331.jpgそして、今日。
ドクターバトゥールからタオルをたくさん預かって、病院へ。
昨晩、尿道に管を通して排尿ができたことで、サーレは少し元気でした。
そういえば、「おしっこしたい」と言っていたような…。


夕方、サシャが1500ドル、イラク人ドナーが700ドル。
日本からの800ドルを合わせて、2,800ドルをクリア!

おそらく入院が5日間を過ぎると予想され、
さらに入院費用がプラスされるのは間違いない。
また、術後の容態によってはさらなる治療が必要となり費用がかかるでしょう。
仮に早く退院できた場合は、紙おむつが今後もずっと必要になるので、
米NGOに送られてきたカンパの余剰分はそれらに充てることにしました。

ヨルダンでイラクの人が無料で受けられる医療機関もありますが、
こうした手術になると私立病院にお願いするしかありません。
しかし、全額一括前払いしてからでないと、診てもらえません。
UNの経済サポートのみで暮らすイラク難民にとっては非常に厳しいです。
以前に、手術費用がなくて命を落としたイラク人男性もいました。

<日本のみなさんからいただいたカンパについて>
数ヶ月に一度、まとまった金額をドルに換えてヨルダンの銀行口座に移しています。
日本からの送金は1週間くらいかかるので、
今回のような緊急時にパッと出せるようにしています。
みなさまの継続的なご支援に心から感謝を申し上げます。
これからもご支援ご協力よろしくお願いいたします。

◆◆◆寄付金振替先◆◆◆
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郵便振替口座番号:02750-3-62668
加入者名    :イラク支援ボランティア 高遠菜穂子
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※このカンパは全額、支援物資の購入、輸送費、現地人件費、医療支援、食料支援などに充てられます。
by nao-takato | 2011-09-20 07:13 | 支援/プロジェクト

リアルタイムでイラクの今をお知らせする為の公開日記


by nao-takato