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DVD『冬の兵士 良心の告発』

昨年の春頃だった。
「Winter Soldiers(冬の兵士)」という件名のメールがアメリカからたくさん来ていた。
「冬の兵士って何だろう?」と思って読んでみた。いろいろと調べてみた。

「冬の兵士」とは、1971年ベトナム戦争時、帰還した兵士たちが米軍の残虐行為を証言した集会の名前。これをきっかけに反戦の動きが大きくなったという。
そして2008年春。今度はイラク帰還兵が「冬の兵士」となった。

昨年3月13日〜16日ワシントンDC近郊の全米労働大学で、
「反戦イラク帰還兵の会」主催による「冬の兵士」証言集会が開かれた。
この様子を映像で記録したのは、おそらく2つのカメラだけ。
アメリカの独立系メディア「デモクラシー・ナウ!」。
そして、日本人ジャーナリスト田保寿一。

先月、久しぶりに田保さんにお会いした。
田保さんとは、バグダッドで知り合った。
一緒にいろんな現場に行った。
怒りに燃えるファルージャも、荒んでいくバグダッドも、サマワの被爆現場も。

田保さんから送られてきたDVD『冬の兵士〜良心の告発〜』を観て、
探していたパズルが見つかったような気がした。
イラクの謎が解けるような。
あの頃のイラク人の叫びを裏側から証明されたような。
まさに、帰還兵たちの人生を賭けた行動だった。
なのに、マスメディア、黙殺。

それにしても、このDVDには田保さんの気迫が満ちている。
「執念」さえ感じる。
聞けば、アメリカでの取材は長期にわたり、「冬の兵士」の集会だけでなく、
700キロのピースウォークを帰還兵たちと歩き、
何人も自宅を訪ねて個別取材も行ったそうだ。
そのすべてを1枚のDVDに収められない悔しさが伝わってくる。

田保さんはイラクで生死をさまよう経験をしている。
それでも、イラクを追い続ける。

田保さんは、イラクで「殺される側」をたくさん取材した。
テレビで見ていた人も多いと思う。
取材すればするほど残虐極まりない米兵たちの行動とか、
「武装勢力」っていうのが謎だと田保さんは言っていた。

ジャーナリストとして「イラクの謎」を解きたかったのだろう。
今度はアメリカで「殺した側」を取材した。
戦場からホームに戻った彼らは、生死をさまよっていた。
田保さんの心に残るイラクの記憶が彼らの姿をとらえた時、
カメラはジャーナリストとしてよりも、人間として回り始めたんじゃないだろうか。

「殺人」が、「生」に与える「衝撃」。
殺した人、殺された人、それぞれの家族にまで及ぶ「衝撃」。
「衝撃」はいつまでも現在進行形で襲いかかる。
イラクでは、今もまだ「衝撃」が渦巻いている。
アメリカでは、楽になりたいと願って生きることを止めた帰還兵たちがたくさんいる。
けれど、それは解決にならなかったろう。
もう一つ「殺」を積み重ねただけだから。

帰還兵たちも、田保さんも、現在進行形の「衝撃」を生きている。
苦しい生き方だ。
証言をする米兵たちを見ていると、胸が痛くなる。
「軍人としての行為」と「良心」はどうしても最後で折り合いがつかないから、苦しい。
田保さんがカメラを回しながら帰還兵に問いかける時の張りつめた空気が、苦しい。
それでも語り続けること、撮り続けることは「生きるんだ」という意志の現れだと思う。

「冬の兵士〜良心の告発〜」は、イラク帰還兵と田保さんのコラボ。
殺されるべきではなかったすべての命へのレクイエムなのだと思う。
これが多くの人の心に届く時、死者の魂はなぐさめられ、
「現在進行形の衝撃」を背負った者たちの苦しみは、やっと「過去」になるのかもしれない。

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by nao-takato | 2009-02-21 03:39 | お知らせ/イベント

リアルタイムでイラクの今をお知らせする為の公開日記


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